蝸牛管頂部近くのCorti〈コルチ〉器で感知されるのはどれか。
公式正答:2
解説
蝸牛管の頂部近くのコルチ器で感知される音を問う。低い音である。
この問題で問われていること
蝸牛が周波数をどのように分けて受け取るか(場所説)を理解しているか。
しくみから理解する
蝸牛は基底膜の物理的性質によって周波数を分析する。基底膜は基部(卵円窓側)では幅が狭く硬く、頂部(蝸牛頂)へ向かうほど幅が広く柔らかくなる。硬く狭い部分は速い振動、すなわち高い周波数の音によく共振し、幅広く柔らかい部分は遅い振動、すなわち低い周波数の音によく共振する。したがって高音は基部で、低音は頂部で感知される。これを場所説(トノトピー)といい、音の高さが蝸牛上の位置に対応して符号化される仕組みである。
選択肢ごとの確認
高音は蝸牛の基部(入口側)で感知される。頂部とは逆の位置である。
音の大きさ(強さ)は、基底膜の振動の振幅と、興奮する有毛細胞の数、そして神経の発火頻度で符号化される。蝸牛上の場所で決まるのは高さであって大きさではない。
同様に、音の強さは場所では決まらない。
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混同しやすいポイント
『高さ』と『大きさ』の符号化の仕組みが別である点が要点。高さ=場所(どこが振動するか)、大きさ=振幅と発火頻度、と分けて覚える。また基部と頂部のどちらが高音かを取り違えやすいので、『入口(基部)は硬くて速い振動=高音』と物理的な性質から導く。
理解を深める
この構造は臨床所見の理解につながる。加齢性難聴(老人性難聴)では、まず高音域から聴力が低下する。これは高音を感知する基部の有毛細胞が、音の入口に近く常に強い刺激にさらされるため障害を受けやすいことによる。騒音性難聴で4,000Hz付近の聴力が最初に落ちる(C5ディップ)のも同様の理由である。高音が聞き取りにくくなると、子音が聞き分けにくくなり『音は聞こえるが言葉が分からない』という訴えになる。高齢者と話すときは、大声にするより低めの声でゆっくり、正面から話すほうが伝わりやすい。
間違えやすい考え方
位置と性質の対応を問う型で、逆に覚えていると確実に外す。物理的性質(硬さと幅)から導けるようにしておく。
5分で振り返る
①基底膜は基部で狭く硬い→高音、頂部で広く柔らかい→低音。②場所説(トノトピー)。③音の大きさは振幅と発火頻度で符号化。④加齢性難聴は高音域から低下。⑤騒音性難聴は4,000Hz付近(C5ディップ)。⑥高齢者には低めの声でゆっくり話す。
1分チェック
- 蝸牛の頂部で感知されるのは何か。→ 低い音。
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