成人の単純ヘルペスウイルスによる encephalitis 脳炎の好発部位はどれか。
公式正答:3
解説
成人の単純ヘルペスウイルスによる脳炎の好発部位を問う。側頭葉である。
この問題で問われていること
疾患の好発部位と、そこから生じる症状を結びつけられるか。
しくみから理解する
単純ヘルペス脳炎は、成人の散発性脳炎で最も頻度が高く、単純ヘルペスウイルス1型による。ウイルスは初感染後に三叉神経節に潜伏し、再活性化すると神経を伝って中枢へ達すると考えられている。三叉神経の走行と嗅覚路の解剖学的な近さから、側頭葉内側部と前頭葉眼窩面に病変が生じやすい。側頭葉は記憶(海馬)、聴覚、言語理解、情動に関わるため、記憶障害、精神症状(異常行動、人格変化)、幻覚、失語、けいれんといった特徴的な症状が現れる。
選択肢ごとの確認
小脳炎は水痘やインフルエンザなどウイルス感染後に小児で生じることがあり、失調(ふらつき、企図振戦、構音障害)を呈する。単純ヘルペス脳炎の好発部位ではない。
視覚野があり、障害されると視野欠損や皮質盲を生じる。ヘルペス脳炎の主要な病変部位ではない。
体性感覚と空間認知に関わり、障害では半側空間無視や失行が生じる。ここも好発部位ではない。
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混同しやすいポイント
『発熱+意識障害+けいれん』で髄膜炎・脳炎を疑うが、単純ヘルペス脳炎はさらに『記憶障害と精神症状が目立つ』点が特徴である。精神疾患と誤られて治療が遅れることがあるため、急性発症の精神症状では脳炎を鑑別に入れる。
理解を深める
単純ヘルペス脳炎は無治療では致死率が高く、後遺症も残りやすいため、疑った時点で確定を待たずにアシクロビルの投与を開始する。診断は髄液のPCR、頭部MRI(側頭葉内側の異常信号、拡散強調像が鋭敏)、脳波(周期性一側性てんかん型放電)による。髄液所見は細胞数増加(単核球優位)、蛋白増加、糖は正常で、細菌性髄膜炎(多形核球優位、糖低下)と異なる。看護では、意識レベルとけいれんの観察、頭蓋内圧亢進の徴候、体温管理、けいれん時の安全確保、後遺症としての記憶障害・高次脳機能障害に対する家族への説明とリハビリテーションへの橋渡しが求められる。
間違えやすい考え方
部位を問う型で、4肢とも脳の部位である。症状(記憶障害・精神症状)から部位を逆算できるようにしておくと確実になる。
5分で振り返る
①HSV-1が三叉神経節から再活性化し側頭葉内側・前頭葉眼窩面へ。②症状は記憶障害・精神症状・けいれん・失語。③疑ったら確定を待たずアシクロビル開始。④診断は髄液PCR・MRI・脳波。⑤髄液は単核球優位・糖正常。⑥急性の精神症状では脳炎を鑑別に。
1分チェック
- 単純ヘルペス脳炎の好発部位はどこか。→ 側頭葉(内側部)。
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