一次救命処置〈BLS〉で心停止と判断するのはどれか。
公式正答:3
解説
一次救命処置で心停止と判断するものを問う。死戦期呼吸である。
この問題で問われていること
心停止の判断基準と、紛らわしい所見を区別できるか。
しくみから理解する
死戦期呼吸(あえぎ呼吸)は、心停止の直後にみられる、しゃくりあげるような不規則で不十分な呼吸である。喉を鳴らす、口をパクパクさせる、体を反らすといった見え方をするため、一見すると呼吸しているように見えるが、有効な換気はまったく行われていない。したがってこれは『正常な呼吸ではない』と判断し、心停止として直ちに胸骨圧迫を開始する。目撃された心停止の一定割合で死戦期呼吸がみられ、これを呼吸ありと誤認して蘇生開始が遅れることが救命率低下の大きな原因になっている。
選択肢ごとの確認
吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する所見で、心タンポナーデ、重症喘息、収縮性心膜炎などでみられる。脈が触れている状態であり心停止ではない。
意識がない状態であるが、それだけでは心停止と判断できない。脳血管障害、低血糖、中毒などでも昏睡になる。反応がないことは確認の第一段階であって、心停止の判断は呼吸と脈で行う。
末梢循環不全や低酸素血症を示す所見で、心不全、呼吸不全、寒冷でもみられる。心停止に特異的ではない。
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混同しやすいポイント
BLSの手順では、反応の確認→応援要請と119番通報・AED手配→呼吸と脈の確認(10秒以内)→胸骨圧迫開始、と進む。ここで『正常な呼吸があるか』を見るのであって、『呼吸があるか』ではない点が要点である。死戦期呼吸は呼吸に見えるが正常ではないため、心停止と判断する。判断に迷う場合も胸骨圧迫を開始することが推奨される。
理解を深める
胸骨圧迫は、胸骨の下半分を、成人で約5cm(6cmを超えない)沈むまで、1分間に100〜120回の速さで、圧迫解除時には完全に胸を戻して行う。中断は最小限にする。人工呼吸ができる場合は30:2で行うが、できない、またはためらわれる場合は胸骨圧迫のみでもよい。AEDが到着したら電源を入れ、音声指示に従って電極パッドを貼り、解析中と通電時は傷病者に触れない。小児では小児用パッドまたはモードを用いるが、なければ成人用を使う。市民救助者の躊躇を減らすことが救命率の向上につながるため、判断の閾値は低く設定されている。
間違えやすい考え方
『心停止と判断するのはどれか』という型で、誤肢が重篤ではあるが心停止ではない所見で構成されている。死戦期呼吸を知っているかだけで決まる。
5分で振り返る
①死戦期呼吸=しゃくりあげるような不規則な呼吸、有効な換気なし→心停止と判断。②確認は『正常な呼吸があるか』。③迷ったら胸骨圧迫を開始。④胸骨圧迫は約5cm、100〜120回/分、完全に戻す。⑤人工呼吸ができなければ圧迫のみでよい。
1分チェック
- 心停止と判断すべき呼吸の所見は何か。→ 死戦期呼吸(あえぎ呼吸)。
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