がん性疼痛があり医療用麻薬を使用中の在宅療養者の家族への説明で正しいのは どれか。
公式正答:2
解説
在宅でがん性疼痛に医療用麻薬を使用している療養者の家族への説明を問う。貼付剤の交換時は前回と違う場所に貼ることである。
この問題で問われていること
経皮吸収型麻薬製剤の使用上の注意と、在宅における麻薬管理の実際を理解しているか。
しくみから理解する
フェンタニル貼付剤などの経皮吸収型製剤は、同じ部位に繰り返し貼ると、粘着剤や薬剤による皮膚炎、発赤、掻痒を生じる。また皮膚の状態が変化すると吸収量が不安定になる。したがって交換のたびに部位を変える(ローテーションする)ことが基本である。貼付部位は、体毛が少なく平坦で、汗をかきにくく、屈曲の少ない場所(胸部、上腕外側、背部など)を選ぶ。皮膚は清潔にして乾燥させてから貼り、剥がれていないかを毎日確認する。
選択肢ごとの確認
施錠して保管する義務は、医療機関や薬局における麻薬の管理に課されるものである。在宅で患者本人・家族が使用する分については、施錠は求められていない。ただし小児やペットが触れない場所に保管する、他人に渡さないといった配慮は必要である。
在宅療養者が紛失した場合の届出義務は本人・家族にはない。処方元の医療機関または調剤した薬局に連絡して相談する。医療機関や薬局が事故(紛失・盗難)を起こした場合は麻薬事故届を都道府県知事に提出する義務がある。
定時薬の時間を早めると、次の投与までの間隔が空いて痛みが強くなるうえ、血中濃度が不安定になる。突出痛にはレスキュー薬(速放性製剤)を追加で使用する。レスキュー薬の使い方と使用間隔をあらかじめ指導しておく。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
在宅と医療機関で麻薬管理のルールが違う点が要点である。麻薬及び向精神薬取締法が施錠保管や事故届を義務づけるのは麻薬取扱者(医療機関、薬局、卸)であって、患者や家族ではない。過度に厳格な説明をすると在宅療養の負担になるため、実際のルールを正確に伝える。
理解を深める
在宅の疼痛管理では、痛みの評価を継続的に行うことが基本になる。数値評価スケール(NRS)やフェイススケールを用い、安静時と体動時、時間帯による変化を記録する。レスキュー薬の使用回数は評価の重要な情報で、1日に何度も必要なら定時薬の増量を検討する。副作用のうち便秘はほぼ必発で耐性ができないため、下剤を継続する。眠気や悪心は数日で軽減することが多い。呼吸抑制は開始時・増量時、高齢、呼吸器疾患、中枢抑制薬併用などで起こりうるため、痛みの存在を安全保証にせず鎮静度と呼吸を観察する。依存への不安には、精神依存の頻度は低い一方、身体依存・耐性や使用障害の可能性を区別して説明する。使い残した麻薬は薬局または医療機関に返却する。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が医療機関のルールを在宅に持ち込んだもの、届出先の取り違え、レスキューの誤用で構成されている。誰に課された義務かを確認する。
5分で振り返る
①貼付部位は毎回変える(皮膚障害と吸収の安定のため)。②清潔・乾燥した平坦な部位に貼り、毎日剥がれを確認。③在宅では施錠保管の義務はない(医療機関・薬局には義務)。④紛失時は処方元か薬局へ連絡。⑤突出痛にはレスキュー薬、定時薬の時間は動かさない。⑥便秘は必発で下剤を継続。
1分チェック
- 貼付剤の交換で気をつけることは何か。→ 前回と違う場所に貼る。
この問題に対応する教材の確認中です。