unstable angina 不安定狭心症の成人患者に対する退院指導で、胸痛発作時に用いる硝酸薬の説明 で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
不安定狭心症患者への退院指導で、胸痛発作時に用いる硝酸薬の説明を問う。使用後は急に立ち上がらないよう伝えることである。
この問題で問われていること
薬剤の作用から生じる副作用と、そこから導かれる生活上の注意を説明できるか。
しくみから理解する
ニトログリセリンは体内で一酸化窒素を遊離し、血管平滑筋を弛緩させる。とくに静脈系を強く拡張するため、心臓へ戻る血液量(前負荷)が減り、心筋の酸素需要が下がって発作が治まる。一方、静脈拡張により血液が下肢に貯留するため血圧が低下し、めまいや失神を起こしうる。急に立ち上がると起立性低血圧が加わって転倒の危険が高まるため、使用時は座位または臥位をとり、しばらく安静にしてから動くよう指導する。
選択肢ごとの確認
舌下錠やスプレーは、光と湿気を避けて室温で保存する。冷蔵は指示されておらず、また発作時に取りに行く必要があるため、常に携帯することのほうが重要である。
舌下投与では1〜2分で効果が現れる。15分では発作への対応として遅すぎる。発作が5分で改善しない、またはいつもと異なる強い症状なら、初回投与後の時点で救急要請し、追加投与は救急要請を遅らせず指示された間隔で行う。
舌下錠は舌の下で溶かして口腔粘膜から吸収させる。噛み砕いて飲み込むと、消化管から吸収されて肝臓での初回通過効果を強く受け、有効な血中濃度に達しない。舌下投与を選ぶ理由がここにある。
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混同しやすいポイント
舌下投与という経路の意味を理解しているかが問われている。口腔粘膜からの吸収は肝臓を経由せずに直接全身循環へ入るため、効果が速く確実である。飲み込むと意味がなくなる。またシルデナフィルなどのPDE5阻害薬(勃起不全治療薬、肺高血圧症治療薬)との併用は重篤な血圧低下を招くため禁忌であり、この確認も指導内容に含まれる。
理解を深める
不安定狭心症は急性冠症候群に含まれ、心筋梗塞へ移行する危険が高い状態である。安静時にも発作が起こる、発作の頻度や強さが増す、持続時間が延びるといった変化は受診の目安になる。退院指導では、発作の誘因(労作、寒冷、入浴、排便時のいきみ、精神的緊張、過食)を避ける工夫、ニトログリセリンの携帯と使用方法、初回投与後5分で改善しない、またはいつもと異なる症状なら追加投与を待たず救急要請すること、禁煙、血圧・脂質・血糖の管理を伝える。ニトログリセリンには耐性が生じるため、貼付剤では休薬時間を設けることがある。頭痛は血管拡張による頻度の高い副作用で、続けるうちに軽減することを説明しておく。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が保存方法、効果発現時間、投与方法という別々の側面で誤りを作っている。舌下投与の原理を理解していれば肢3は確実に切れる。
5分で振り返る
①静脈拡張で前負荷が減り発作が治まる。②副作用は血圧低下・頭痛。使用時は座位か臥位。③舌下で1〜2分で効果、噛み砕いて飲み込まない。④保存は室温、常に携帯する。⑤5分で改善しない、またはいつもと異なる強い症状なら初回投与後に救急要請し、追加投与で通報を遅らせない。⑥PDE5阻害薬との併用は禁忌。
1分チェック
- ニトログリセリン使用後に気をつけることは何か。→ 血圧低下による転倒(急に立ち上がらない)。
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