肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となる疾患はどれか。
公式正答:3
解説
肝動脈塞栓術(TAE)の適応となる疾患を問う。肝細胞癌である。
この問題で問われていること
治療法の原理から、どの病態に適応となるかを導けるか。
しくみから理解する
正常な肝組織は門脈から約7割、肝動脈から約3割の血液供給を受けている。一方、肝細胞癌は増大に伴って門脈からの供給が減り、ほぼ肝動脈のみから栄養される。この違いを利用し、腫瘍を栄養する肝動脈を選択的に塞栓すれば、腫瘍だけを虚血・壊死に導き、正常な肝組織は門脈血流によって保たれる。これが肝動脈塞栓術の原理である。抗がん薬を併用する場合は肝動脈化学塞栓療法(TACE)と呼ばれる。多発する腫瘍や、切除やラジオ波焼灼術が難しい症例で選択される。
選択肢ごとの確認
液体が貯留した良性の病変で、多くは無症状であり治療を要しない。大きく症状を伴う場合は穿刺吸引や硬化療法を行う。血流を遮断する治療の対象ではない。
肝細胞に中性脂肪が蓄積した状態で、原因(過栄養、飲酒、糖尿病など)への対応が治療となる。食事療法、運動療法、禁酒が中心である。
HAVの経口感染による急性の炎症で、多くは対症療法で治癒する。慢性化せず、血管内治療の対象ではない。
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混同しやすいポイント
肝細胞癌の治療法は、腫瘍の数・大きさ・肝予備能(Child-Pugh分類)によって選択される。肝切除、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、薬物療法(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)、肝移植があり、どれか一つが唯一の正解ではない。設問では原理から適応を導く力が問われている。
理解を深める
TAE/TACE後には、塞栓後症候群として発熱、腹痛、悪心・嘔吐、肝機能障害が数日間みられる。これは腫瘍の壊死に伴う反応であり、通常は自然に軽快するが、疼痛管理と輸液、解熱への対応が必要になる。合併症としては、肝膿瘍、胆囊炎、肝不全、穿刺部の血腫や仮性動脈瘤がある。カテーテルは大腿動脈から挿入されることが多く、術後は穿刺部の圧迫と安静、末梢動脈の拍動・色調・温度・しびれの観察を行う。肝硬変を背景に持つことが多いため、肝性脳症、腹水、食道静脈瘤といった基礎疾患の合併症にも注意する。
間違えやすい考え方
治療法の適応を問う型で、誤肢が肝臓の別の病態で構成されている。血流の特徴という原理を知っていれば一択になる。
5分で振り返る
①正常肝は門脈7割・肝動脈3割、肝細胞癌はほぼ肝動脈のみ。②肝動脈を塞栓すると腫瘍だけが壊死する。③抗がん薬併用はTACE。④術後は塞栓後症候群(発熱・腹痛・悪心)。⑤穿刺部の血腫と末梢循環を観察。⑥背景の肝硬変の合併症にも注意。
1分チェック
- 肝動脈塞栓術の適応は何か。→ 肝細胞癌。
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