polymyositis 多発性筋炎と診断された成人の症状について正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
多発性筋炎と診断された成人の症状について正しいものを問う。物を持ち上げられないことである。
この問題で問われていること
筋炎の障害部位(近位筋か遠位筋か)を把握しているか。
しくみから理解する
多発性筋炎は横紋筋を標的とする自己免疫性の炎症性筋疾患で、体幹に近い近位筋が対称性に侵される。上肢では三角筋や上腕の筋、下肢では大腿四頭筋や腸腰筋が障害されるため、物を持ち上げる、腕を上げて髪を洗う、階段を上る、椅子から立ち上がるといった動作が困難になる。進行はゆるやかで、筋痛を伴うこともある。血清CK(クレアチンキナーゼ)やアルドラーゼの上昇、筋電図の筋原性変化、筋生検の炎症所見で診断する。
選択肢ごとの確認
蝶形紅斑は全身性エリテマトーデス(SLE)の特徴である。なお皮膚筋炎では、上眼瞼のヘリオトロープ疹や手指関節背面のGottron徴候といった特徴的な皮疹がみられるが、頰の蝶形紅斑ではない。
遠位筋の麻痺(下垂足)を示す所見で、腓骨神経麻痺や末梢神経障害を示唆する。筋炎は近位筋優位であり、遠位筋の障害が先行することはまれである。
レイノー現象は寒冷刺激や精神的緊張で手指が白色→紫色→赤色と変化するもので、全身性強皮症やSLEなどでみられる。温熱刺激ではなく寒冷刺激が誘因である点でも誤っている。
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混同しやすいポイント
『近位筋優位』が最大の判別点である。近位筋の障害では、腕を上げる・立ち上がる・階段を上るという動作が障害され、遠位筋の障害では、箸を使う・ボタンを留める・つま先を上げるという動作が障害される。膠原病の皮膚所見(蝶形紅斑=SLE、ヘリオトロープ疹とGottron徴候=皮膚筋炎、レイノー現象=強皮症)も対で覚える。
理解を深める
多発性筋炎・皮膚筋炎では、嚥下筋が侵されると嚥下障害を生じ、誤嚥性肺炎の危険が高まる。また間質性肺炎の合併は予後を左右する重要な問題で、労作時呼吸困難や乾性咳嗽に注意する。皮膚筋炎では悪性腫瘍の合併率が高く、診断時に全身の悪性腫瘍検索を行う。治療は副腎皮質ステロイドが中心で、免疫抑制薬を併用する。看護では、急性期の安静と、炎症が落ち着いてからの段階的なリハビリテーション、ステロイドの副作用(易感染性、骨粗鬆症、高血糖)への対応、嚥下と呼吸の観察が求められる。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が他の膠原病の所見と、障害部位の取り違えで構成されている。近位筋という一語が判別の鍵になる。
5分で振り返る
①多発性筋炎=近位筋が対称性に侵される。②CK・アルドラーゼ上昇、筋電図と筋生検で診断。③皮膚筋炎はヘリオトロープ疹とGottron徴候、悪性腫瘍の合併に注意。④蝶形紅斑はSLE、レイノー現象は寒冷刺激で強皮症など。⑤嚥下障害と間質性肺炎が予後を左右する。
1分チェック
- 多発性筋炎で障害されるのはどの筋か。→ 近位筋(物を持ち上げる、立ち上がる動作が困難)。
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