認知機能の評価で、高齢者に3 段階の命令で行動を促す項目が含まれるのはどれ か。
公式正答:4
解説
高齢者に3段階の命令で行動を促す項目が含まれる認知機能の評価を問う。MMSEである。
この問題で問われていること
主要な評価スケールの構成項目を区別できるか。
しくみから理解する
MMSE(Mini-Mental State Examination)は、見当識、記銘、注意と計算、再生、言語(呼称、復唱、理解、読字、書字)、図形模写の11項目・30点満点で構成される。このうち言語の理解を評価する項目として、3段階の命令(「右手にこの紙を持ち、それを半分に折り、床に置いてください」)が含まれる。これは口頭指示を理解して順に実行できるかをみるものである。ほかに読字(「目を閉じてください」と書いた紙を読んで実行する)、書字、図形模写(交差した五角形)といった動作を伴う項目があるのがMMSEの特徴である。
選択肢ごとの確認
本人と家族からの情報をもとに、記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況と趣味、介護状況の6領域を評価し、重症度を5段階(0、0.5、1、2、3)で判定する。本人に課題を課す形式ではない。
アルツハイマー型の認知症について、その進み具合を日常生活動作の障害の程度から7段階に分類する尺度である。観察に基づく評価で、命令課題は含まれない。
9項目・30点満点で、年齢、見当識、3語の記銘と遅延再生、計算(100から7を順に引く)、数字の逆唱、5つの物品の記銘、野菜の名前の列挙で構成される。5つの物品の記銘は、実際に物を提示して隠し、後で答えさせる課題になる。言語によるやりとりが主体で、図形模写や書字、3段階の命令といった課題は含まれない。
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混同しやすいポイント
HDS-RとMMSEはどちらも30点満点でカットオフ20/21点(HDS-R)、23/24点(MMSE)と似ているため混同しやすい。決定的な違いは、MMSEには書字・図形模写・命令実行という動作課題があり、HDS-Rにはこれらが含まれない点である。HDS-Rにも5つの物品を提示して隠し、後で答えさせる課題があるため、口頭のやりとりだけで完結するわけではない。ただし書く・描く・指示どおりに動くという課題を要さないので、視覚や上肢の障害がある人には実施しやすい。
理解を深める
認知機能の評価は、点数だけで認知症の有無を判断するものではない。教育歴、聴力・視力、体調、せん妄やうつの有無によって成績が変わるため、生活の状況と合わせて解釈する。うつによる認知機能低下(仮性認知症)は、本人が物忘れを強く訴える、答えに『わかりません』が多い、抑うつ気分が先行するといった特徴があり、認知症では本人が忘れを自覚しにくく取り繕う傾向がある。せん妄は急性発症で日内変動があり、意識レベルの変動を伴う点で認知症と区別する。評価の際は、本人の自尊心を損なわないよう、目的を説明し、静かな環境で、失敗を責めない態度で行う。
間違えやすい考え方
スケール名と構成項目を対応させる型。名称を知っていても中身を知らないと選べない。『MMSEには図形模写・書字・命令課題があり、HDS-Rにはない』を軸に覚える。
5分で振り返る
①MMSE=30点満点、見当識・記銘・計算・再生・言語・図形模写。3段階命令、読字、書字、五角形模写を含む。②HDS-R=30点満点、言語によるやりとりが主体(5つの物品を提示して隠す記銘の課題はある)。図形模写・書字・命令課題は含まない。③CDR=本人と家族の情報から6領域を5段階で重症度判定。④FAST=ADLの障害から7段階に分類。⑤点数だけで判断せず生活状況と合わせる。
1分チェック
- 3段階の命令が含まれるスケールはどれか。→ MMSE。
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