A さん(70 歳、男性)は1 人で暮らしており、日常生活動作〈ADL〉は自立してい る。 hypertension 高血圧症で内服治療をしている。受診時にA さんから「最近、昼間に眠くなっ て、夜よく眠れない。どうしたらよいか」と看護師に相談があった。 A さんの1 日の過ごし方を図に示す。 A さんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
1人暮らしでADLが自立している70歳男性の「昼間に眠くなって夜よく眠れない」という相談への援助を問う。午前中に散歩を取り入れることである。
この問題で問われていること
睡眠と覚醒のリズムを整える非薬物的な方法を選べるか。
しくみから理解する
概日リズムは体内時計によって作られ、朝の光を浴びることでリセットされる。網膜から視交叉上核へ光の情報が伝わり、リズムの位相が調整される。また日中の身体活動は、夜間の深い睡眠を増やす。午前中の散歩は、光を浴びることと身体を動かすことを同時に満たすため、夜間の入眠と睡眠の質の改善に有効である。高齢者では日中の活動量が減りやすく、それが夜間の睡眠を浅くしてさらに日中の眠気を招く悪循環を生じるため、この循環を断つ介入になる。
選択肢ごとの確認
入浴は深部体温を一時的に上げ、その後の低下によって入眠を促すため、就寝の1〜2時間前が適している。昼食後の入浴は昼の眠気を強め、午睡を誘発して夜間の睡眠をさらに妨げる。
逆効果である。長い午睡は睡眠圧(眠気の蓄積)を減らし、夜間の入眠を妨げる。午睡をとるなら午後3時までに15〜30分程度にとどめる。
夜間頻尿を減らす意図は理解できるが、水分を完全に控えると脱水を招き、高齢者では脳梗塞や心筋梗塞、せん妄のリスクを高める。就寝直前の多量の摂取を避ける程度にとどめ、日中に十分な水分を摂る。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『眠れないなら休ませる』という発想が誤肢2・3を選ばせる。睡眠は休息の量ではなくリズムの問題であり、日中に活動して光を浴びることが夜の睡眠を作る。また高齢者への水分制限は害が大きく、安易に勧めない点も重要である。
理解を深める
睡眠衛生の指導は、①毎日ほぼ同じ時刻に起床する(就寝時刻より起床時刻を固定する)②朝に光を浴びる③日中に活動する④午睡は短く午後3時まで⑤就寝前のカフェイン・アルコール・喫煙を避ける⑥就寝1〜2時間前の入浴⑦寝床で長く過ごさない、といった内容からなる。アルコールは入眠を早めるが睡眠を浅くし中途覚醒を増やすため、寝酒は勧めない。高齢者の不眠では、まず身体疾患(前立腺肥大による夜間頻尿、疼痛、呼吸器疾患、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸)と、うつ、薬剤の影響を評価する。睡眠薬は転倒・骨折とせん妄のリスクがあるため、非薬物的な対応を優先する。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『休ませる』『制限する』という一見配慮に見える方向で作られている。リズムを整えるという原理で選ぶ。
5分で振り返る
①朝の光で体内時計がリセットされる。②日中の活動が夜の深い睡眠を作る。③午睡は午後3時まで15〜30分。④入浴は就寝1〜2時間前。⑤夕食後の水分完全制限は脱水を招くので不適。⑥睡眠薬より非薬物的対応を優先。
1分チェック
- 夜眠れない高齢者にまず勧めることは何か。→ 午前中に光を浴びて活動する(散歩)。
この問題に対応する教材の確認中です。