乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいものを問う。肋骨はほぼ水平位である。
この問題で問われていること
乳児の解剖学的な特徴と、そこから生じる呼吸の特性を結びつけられるか。
しくみから理解する
乳児では肋骨が脊柱に対してほぼ水平に付いており、胸郭の断面は円形に近い。成人では肋骨が前下方へ傾いているため、肋間筋の収縮で肋骨が持ち上がると胸郭の前後径と左右径が広がる(バケツの取っ手運動、ポンプの柄運動)。乳児では肋骨がすでに水平なため、この持ち上げによる胸郭の拡大が起こりにくい。加えて肋間筋も未発達である。そのため乳児は横隔膜の上下運動に頼る腹式呼吸となり、腹部の膨満や強い腹帯は呼吸を妨げる要因になる。成長に伴い肋骨が下方へ傾いてくると胸式呼吸へ移行する。
選択肢ごとの確認
逆で、少ない。出生時の肺胞数は成人の1割程度で、その後8歳頃まで増加を続ける。肺胞が少ないことはガス交換の予備力が小さいことを意味し、呼吸障害が急速に進行する理由になる。
乳児の胸郭は断面が円形に近く、左右径と前後径がほぼ等しい。成長に伴い左右径が相対的に大きくなり、扁平な形になる。
逆で、細い。気道抵抗は内径の4乗(乱流ではさらに強く)に反比例するため、わずかな浮腫や分泌物でも抵抗が急増する。クループや細気管支炎で容易に呼吸困難に陥るのはこのためである。
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混同しやすいポイント
『相対的に』という語に注意する。絶対値では当然乳児のほうが細く小さいが、体格に対して相対的にどうかを問われることもある。気道については、体格を考慮しても内径が細く、粘膜が浮腫を起こしやすい。方向を問う設問では、誤肢が全部逆になっていることが多いため、1つ確実に判断できれば連鎖的に解ける。
理解を深める
これらの解剖学的特徴は、乳児が呼吸不全に陥りやすい理由を説明する。ほかに、鼻呼吸が主体である(生後数か月は口呼吸が苦手なため鼻閉が哺乳と呼吸を妨げる)、喉頭の位置が高く喉頭蓋が大きい、気管が短く柔らかい、呼吸筋が疲労しやすい、代謝が盛んで酸素消費量が多いといった特徴がある。観察では、呼吸数、陥没呼吸(鎖骨上窩、肋間、剣状突起下)、鼻翼呼吸、呻吟、シーソー呼吸、チアノーゼ、多呼吸、哺乳力の低下、機嫌をみる。乳児は言葉で訴えられないため、これらの他覚的所見が重要になる。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢3つがすべて事実の逆になっている。乳児は『肺胞が少ない・気道が細い・胸郭が円形で肋骨が水平』とまとめて覚える。
5分で振り返る
①肋骨は水平位、胸郭は円形に近い→腹式呼吸。②肺胞数は成人の1割程度、8歳頃まで増加。③気道内径は細く、浮腫で抵抗が急増。④鼻呼吸が主体で鼻閉の影響が大きい。⑤観察は陥没呼吸・鼻翼呼吸・呻吟・哺乳力。
1分チェック
- 乳児の肋骨はどうなっているか。→ ほぼ水平位(そのため腹式呼吸)。
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