A ちゃん(4 歳、女児)は1 か月前から発熱が続いており、大学病院に紹介され 入院した。静脈麻酔で鎮静して骨髄穿刺を行うこととなった。 検査に際して適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
静脈麻酔下で骨髄穿刺を行う4歳女児に対する検査で適切なものを問う。穿刺部位が上後腸骨棘のときの体位は腹臥位である。
この問題で問われていること
検査の部位と、それに対応する体位・手技を理解しているか。
しくみから理解する
上後腸骨棘は骨盤の後方にある骨の突出部で、体表から触れやすく、皮下組織が薄いため穿刺しやすい。背側からの穿刺となるため、体位は腹臥位をとる。小児では骨髄穿刺の部位として腸骨(上後腸骨棘、上前腸骨棘)が用いられ、胸骨は心臓や大血管を損傷する危険があるため小児では選択されない。乳児では脛骨を用いることもある。
選択肢ごとの確認
骨髄液は骨の内部にある骨髄腔(海綿骨の間隙)から採取する。骨膜は骨の表面を覆う膜で、痛覚神経が豊富に分布する組織であり、ここから採取するのではない。局所麻酔では骨膜まで十分に浸潤させることが疼痛軽減の要点になる。
穿刺前には消毒を行うが、穿刺直後に必要なのは圧迫止血である。骨髄穿刺後は数分間圧迫し、止血を確認してから滅菌ガーゼで保護する。穿刺後に消毒液を塗ることは目的にかなわない。
長時間の安静は不要である。止血を確認した後は通常の生活に戻ってよい。12時間の水平仰臥位は、腰椎穿刺後の対応と混同したものになる。なお腰椎穿刺の後についても、臥床安静そのものに硬膜穿刺後頭痛を予防する効果は、対照試験とその統合で示されていない(直ちに離床した場合と差がない)。処置の後は短時間の観察を行い、頭痛が生じた場合に臥床、水分摂取、鎮痛薬で対応する。
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混同しやすいポイント
骨髄穿刺と腰椎穿刺の混同が最大の落とし穴である。骨髄穿刺は骨髄腔から造血の状態を調べる検査で、後の安静は短い。腰椎穿刺はくも膜下腔から髄液を採る検査で、髄液漏出による低髄圧性頭痛を防ぐため一定時間の安静が必要になる。部位、目的、体位、後の管理がすべて異なる。
理解を深める
小児の検査では、プレパレーション(発達段階に応じた説明による心理的準備)が重要になる。4歳であれば、人形や絵本、写真を使って何が起こるかを具体的に伝え、痛みがあることを隠さず、頑張れることを伝える。嘘をつくと以後の信頼関係が損なわれる。検査中は保護者の付き添いの可否を確認し、終了後は頑張りを認めるディストラクションと肯定的なフィードバックを行う。鎮静を行う場合は、絶飲食の遵守、呼吸・循環のモニタリング、覚醒までの観察が必要である。検査後は穿刺部の出血、疼痛、感染徴候を観察する。血液疾患では血小板減少を伴うことが多く、止血の確認は特に重要になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が解剖の誤り、手順の順序の誤り、他の検査との混同で構成されている。部位から体位を導き、目的から後の管理を導く。
5分で振り返る
①上後腸骨棘は背側→腹臥位。②骨髄液は骨髄腔から採取(骨膜ではない)。③小児では腸骨、胸骨は用いない。④穿刺後は圧迫止血、長時間の安静は不要。⑤腰椎穿刺とは目的も後の管理も異なる(腰椎穿刺の後も、臥床安静そのものに頭痛の予防効果は示されていない。処置後は短時間の観察を行い、頭痛が生じたら臥床・水分・鎮痛薬で対応する)。⑥プレパレーションで発達段階に応じた説明を行う。
1分チェック
- 上後腸骨棘から骨髄穿刺するときの体位は何か。→ 腹臥位。
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