A さんは産褥2 日である。現在、子宮底の位置は臍高で、大きく柔らかい。下 腹部痛はないが悪露の排出は多い。 A さんへの看護ケアで適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
産褥2日で子宮底が臍高、子宮が大きく柔らかく、悪露の排出が多い褥婦への看護を問う。子宮底をマッサージすることである。
この問題で問われていること
子宮復古の正常な経過を知り、そこからの逸脱を判断して対応できるか。
しくみから理解する
分娩後の子宮は収縮して急速に小さくなる。子宮底の高さは、分娩直後は臍下2〜3横指、産褥1日で臍高またはやや上、その後1日に約1横指ずつ下がり、産褥10日前後で腹壁から触れなくなる。産褥2日で臍高のまま、子宮が大きく柔らかく、悪露が多いという所見は、子宮の収縮が不十分な子宮復古不全を示す。子宮筋が収縮しないと、胎盤剝離面の血管が閉じず出血が続く。対応として、子宮底を輪状にマッサージして機械的刺激を与えると子宮筋の収縮が促され、貯留していた血液や凝血塊が排出されて子宮が硬く小さくなる。
選択肢ごとの確認
逆効果である。早期離床は子宮収縮を促し、悪露の排出を助け、血栓症の予防にもなる。臥床を続けると悪露が子宮内に貯留しやすくなる。
授乳の吸啜刺激はオキシトシンの分泌を促し、子宮収縮を強める(後陣痛として自覚される)。子宮復古を促す最も自然な方法であり、控えるのは逆である。
温罨法・冷罨法を子宮収縮促進の標準治療として選ばない。子宮復古不全では膀胱充満、胎盤遺残、感染、子宮弛緩等を評価し、必要な子宮収縮薬や原因治療を行う。冷罨法は会陰部痛など別の適応で用いることがある。
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混同しやすいポイント
子宮復古を促す3つの手段は、授乳(オキシトシン)、早期離床、子宮底マッサージ(および必要に応じて冷罨法、子宮収縮薬)である。誤肢はいずれもこの逆方向になっている。また、膀胱充満は子宮の収縮を妨げるため、排尿を促すことも重要な看護である。
理解を深める
子宮復古不全の原因には、多胎妊娠や巨大児による子宮筋の過伸展、遷延分娩による疲労、胎盤や卵膜の遺残、子宮内感染、膀胱・直腸の充満、頻回の帝王切開既往などがある。観察は、子宮底の高さと硬さ、悪露の量・色・においを組み合わせて行う。悪露は赤色悪露(産褥3日頃まで)、褐色悪露(〜産褥2週頃)、黄色・白色悪露(〜産褥4〜6週)と変化するのが正常で、いったん褐色になった悪露が再び赤色に戻る、悪臭がする、発熱を伴う場合は感染や遺残を疑う。出血量が多い場合は、バイタルサインとショック指数を評価し、速やかに医師へ報告する。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢がすべて子宮収縮を妨げる方向で作られている。復古を促す手段を3つ持っていれば確実に選べる。
5分で振り返る
①子宮底は産褥1日で臍高、以後1日1横指ずつ下降、10日前後で触れなくなる。②復古を促すのは授乳・早期離床・子宮底マッサージ。③温罨法・冷罨法を子宮収縮促進の標準治療とせず、原因評価と必要な子宮収縮薬・原因治療を優先する。④膀胱充満は収縮を妨げるので排尿を促す。⑤悪露は赤色→褐色→黄白色。赤色への逆戻りや悪臭は異常。
1分チェック
- 子宮復古不全への直接的な対応は何か。→ 子宮底のマッサージ。
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