心臓からの血液の拍出について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
心周期と左右の拍出量のつりあいをまとめて問う問題。正しいのは「心房が拡張している途中で房室弁が開く」という時間関係。
この問題で問われていること
心房と心室の動きが同期していないこと、左右の拍出量が等しいこと、収縮期は等容性収縮から始まることの3点を同時に問うている。
しくみから理解する
心室が収縮しているあいだ、心房は拡張して静脈から血液を受け取っている。心室の収縮が終わって内圧が下がり、心房内圧を下回った時点で房室弁が開き、心房に溜まっていた血液が心室へ流れ込む。つまり房室弁が開くのは心房の拡張期の途中であって、心房収縮の始まりではない。心房収縮はさらに後で起こり、心室への充満の最後の20%ほどを押し込む役目をする。1回拍出量は左右で等しく、左心室のほうが圧は高いが量は同じ。左右の動脈弁の閉鎖には時間差があり、吸気時にはこの差が広がってII音の分裂として聴かれる。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 心周期、ガイトン生理学 心臓のポンプ機能
選択肢ごとの確認
定常状態では心拍出量と静脈還流量は等しい。多ければ心臓に入る血液が足りなくなり、少なければ静脈側に溜まっていく。長時間ずれ続けることはあり得ない。
1回拍出量は左右で等しい。等しくないと肺か体循環のどちらかに血液が溜まる。左心室のほうが厚くて圧は高いが、量は同じ。
大動脈弁のほうが肺動脈弁よりわずかに早く閉じる。吸気時は胸腔内圧が下がって右心系への還流が増え、右心室の駆出時間が延びるため差が広がり、II音の生理的分裂として聴取される。
心室内圧が心房内圧を下回った時点で開く。このとき心房はまだ拡張して血液を溜めている途中である。
心室収縮期は房室弁が閉じることで始まり、まず等容性収縮期がある。動脈弁が開くのはそのあと。順序が逆になっている。
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混同しやすいポイント
心房と心室を同じリズムで動くものと考えると4の意味がつかめない。心房と心室は交互ではなく、重なりながらずれて動いている。心室が収縮しているあいだ心房は溜めていて、心室が緩んだ瞬間に流れ込む、という時間差で理解する。
理解を深める
心室への充満は3段階に分かれる。房室弁が開いた直後の急速充満期(受動的に一気に流れ込む・全体の約70%)、続く緩徐充満期、そして最後の心房収縮(約20%)。安静時は心房収縮の寄与が小さいので、心房細動になっても直ちに困らない。しかし頻脈になると拡張期が短くなり、急速充満期が削られるため心房収縮の寄与が相対的に大きくなる。心房細動で頻脈になると心拍出量が落ちるのはこのためである。
間違えやすい考え方
5肢のうち4つを「もっともらしいが逆・不等」で作る型。定常状態でのつりあい(入る量=出る量、左=右)は物理的に決まっているので、まずそこで2つ落とせる。
5分で振り返る
定常状態では心拍出量=静脈還流量、左心系の拍出量=右心系の拍出量。心室収縮期は房室弁の閉鎖(I音)で始まり、等容性収縮期を経て動脈弁が開く。心室が緩んで心房内圧を下回ると房室弁が開き(心房拡張期の途中)、急速充満期→緩徐充満期→心房収縮の順で充満する。心房収縮の寄与は約20%。動脈弁の閉鎖は大動脈弁がわずかに先で、吸気時に差が広がりII音分裂となる。
1分チェック
- 心拍出量と静脈還流量の関係はどうなるか
- 左右の1回拍出量は等しいか
- 房室弁が開くのは心房のどの時期か
- 心室収縮期は何が起こって始まるか
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