創傷の治癒過程において肉芽組織が形成されるのはどれか。
公式正答:5
解説
創傷の治癒過程において肉芽組織が形成される時期を問う。増殖期である。
この問題で問われていること
創傷治癒の各期で何が起こるかを順に把握しているか。
しくみから理解する
創傷が治る過程は4つの段階をたどる。まず止血、続いて炎症、次に増殖、最後に成熟(リモデリング)である。止血期では血小板が凝集して血栓を作る。炎症期(受傷後数日)では好中球とマクロファージが集まり、細菌と壊死組織を除去する。増殖期(受傷後数日〜3週間程度)では、線維芽細胞がコラーゲンを産生し、血管新生が起こり、これらが合わさって鮮紅色で顆粒状の肉芽組織が形成される。同時に創縁から上皮化が進む。成熟期(3週間〜年単位)ではコラーゲンが再構築され、瘢痕として成熟し、創の強度が徐々に増していく。
選択肢ごとの確認
好中球とマクロファージによる異物・壊死組織の除去が主体で、発赤、腫脹、熱感、疼痛がみられる時期である。肉芽の形成はまだ始まっていない。
血小板凝集と凝固により出血を止める最初の段階である。数分から数時間の現象で、組織の再生はこれから始まる。
創傷治癒の期の名称として一般に用いられない。止血期を指すつもりの選択肢と考えられるが、いずれにせよ肉芽形成の時期ではない。
すでに形成された肉芽と瘢痕が再構築される時期である。コラーゲンの配列が整えられ、瘢痕は次第に白く平坦になる。肉芽が新たに作られる時期ではない。
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混同しやすいポイント
肉芽組織は『新しい血管と線維芽細胞からなる、鮮紅色で凹凸のある組織』である。良性の肉芽は鮮紅色で適度な湿潤があり、易出血性である。一方、蒼白な肉芽は血流不足、浮腫状でぶよぶよした肉芽は感染や過剰な湿潤を示唆する。過剰肉芽(創面より盛り上がる)は上皮化を妨げるため対応が要る。色と性状の観察が創の状態を教える。
理解を深める
創傷治癒には一次治癒と二次治癒がある。一次治癒は創縁を縫合などで密着させて治す方法で、肉芽の形成は少なく瘢痕も小さい。二次治癒は創が開いたまま、肉芽で欠損を埋めて上皮化を待つ方法で、褥瘡や感染創がこれにあたる。治癒を促す条件は、湿潤環境の保持(乾燥させない)、適切な血流と酸素、十分な栄養(とくにタンパク質、ビタミンC、亜鉛)、感染の制御、創面の圧迫やずれの除去である。かつての『消毒して乾かす』という方法は上皮化を妨げるため、現在は創面を洗浄し湿潤環境を保つ管理(moist wound healing)が基本となっている。
間違えやすい考え方
時期と現象の対応を問う型で、期の名称を順に覚えていれば解ける。誤肢に実在しない期名(出血期)が混ぜられている点にも注意。
5分で振り返る
①止血期→炎症期→増殖期→成熟期。②増殖期で線維芽細胞のコラーゲン産生と血管新生→肉芽形成、上皮化。③炎症期は異物と壊死組織の除去。④成熟期はコラーゲンの再構築。⑤良性の肉芽は鮮紅色、蒼白は血流不足、浮腫状は感染を疑う。⑥治癒には湿潤環境・栄養・感染制御。
1分チェック
- 肉芽組織ができるのはどの時期か。→ 増殖期。
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