基礎疾患のない患者の anal fistula 痔瘻について正しいのはどれか。2 つ選べ。
公式正答:2・3
解説
基礎疾患のない患者の痔瘻について正しいものを2つ選ぶ。悪性腫瘍の発生があること、手術療法が原則であることである。
この問題で問われていること
肛門疾患の病態を区別し、治療方針を導けるか。
しくみから理解する
痔瘻は、肛門陰窩から細菌が侵入して肛門周囲膿瘍を形成し、それが自然に、あるいは切開により排膿した後、瘻管(トンネル)として残った状態である。瘻管は上皮化しないため自然には閉じず、抗菌薬や軟膏では治癒しない。したがって瘻管を切開開放または切除する手術が原則的な治療となる。また長期間放置された痔瘻からは、まれに痔瘻癌(多くは粘液癌)が発生することが知られており、これも早期に治療すべき理由になる。
選択肢ごとの確認
後天性である。肛門陰窩からの感染が起点であり、下痢や免疫低下が誘因となる。なお乳児痔瘻は乳児期に特有の病態で、多くは自然に治癒し成人の痔瘻とは経過が異なる。
これは痔核(いぼ痔)の説明である。直腸肛門部の静脈叢がうっ血して膨隆したもので、痔瘻とは別の疾患である。
骨盤底筋群の脆弱化は、骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁、便失禁の要因となる。痔瘻の成因ではない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
肛門の3大疾患(痔核・裂肛・痔瘻)を区別する。痔核は静脈叢のうっ血で、出血と脱出が症状、保存療法が可能。裂肛は硬便による肛門上皮の裂創で、排便時の激痛と出血、便通の改善が基本。痔瘻は感染に始まる瘻管で、膿の排出と腫脹・疼痛が症状、手術が原則。成因(うっ血・裂創・感染)で覚えると混同しない。
理解を深める
痔瘻の手術では、括約筋の損傷による便失禁を避けることが重要な課題になる。瘻管が括約筋をどの程度貫くかによって術式(切開開放術、括約筋温存術、シートン法など)が選択される。クローン病では痔瘻を合併しやすく、難治性で再発を繰り返すため、基礎疾患の治療が並行して必要になる。設問が『基礎疾患のない患者の』と限定しているのは、クローン病に伴う痔瘻を除く趣旨と考えられる。看護では、術後の排便コントロール(便秘と下痢の両方を避ける)、創部の洗浄と清潔保持、坐浴による疼痛緩和と血流促進、食物繊維と水分の摂取指導を行う。
間違えやすい考え方
『2つ選べ』の複数選択で、誤肢が他の肛門疾患や骨盤底の病態で構成されている。成因を一語(感染)で押さえれば区別できる。
5分で振り返る
①痔瘻=肛門陰窩からの感染→肛門周囲膿瘍→瘻管が残る。②瘻管は上皮化せず自然閉鎖しないため手術が原則。③長期放置で痔瘻癌が発生しうる。④痔核は静脈叢のうっ血、裂肛は硬便による裂創。⑤クローン病では難治性の痔瘻を合併しやすい。⑥術後は排便コントロールと創部の清潔。
1分チェック
- 痔瘻の治療の原則は何か。→ 手術(瘻管は自然に閉じない)。
この問題に対応する教材の確認中です。