次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(78歳、女性、要介護1)は夫(82歳、要支援1)と2人で暮らしている。hypertension高血圧症とheartfailure心不全と診断され、降圧薬と利尿薬を内服し、日常生活では呼吸困難の症状はない。病状管理のために訪問看護を週1回利用している。Aさんは「最近、買い物に行くとすぐに疲れてしまい、重いものが買えない」と話し、訪問介護員の買い物への同行を希望した。Aさんの希望を受けてサービス担当者会議が開催され、訪問介護事業所から訪問看護師に「買い物に同行するときに注意することはありますか」と質問があった。
このときに訪問看護師が助言する内容で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
心不全のある要介護1の高齢女性の買い物同行にあたり、訪問介護員へ助言する内容を問う。息切れが出たら休憩するよう伝えることである。
この問題で問われていること
心不全の病態を踏まえ、他職種にも実行できる具体的な観察と対応を伝えられるか。
しくみから理解する
心不全では心臓のポンプ機能が低下しており、活動によって酸素需要が増えると供給が追いつかなくなる。その最初の徴候が労作時の息切れである。この人は日常生活では呼吸困難がないが、買い物ではすぐに疲れ、重い物が持てないと訴えており、労作の負荷が心機能の限界を超えていることを示している。息切れが出た時点で休憩すれば、心負荷が下がり症状は回復する。無理を続けると心不全の増悪につながる。訪問介護員は医療職ではないが、息切れという分かりやすい徴候であれば確実に観察でき、休憩という対応も実行できる。他職種に伝える助言としては、判断が単純で実行可能なことが重要になる。
選択肢ごとの確認
心不全では水分管理が必要な場合があるが、それは医師の指示に基づく1日量の管理であり、外出時に一律に制限するものではない。高齢者は口渇を感じにくく脱水になりやすいうえ、利尿薬を内服しているためなおさら脱水の危険がある。脱水は血栓症や腎機能悪化の原因にもなる。
心不全では塩分制限が治療の柱であり、好みだけで選ぶと過剰摂取につながる。加工食品、漬物、汁物、麺類の汁などは塩分が多い。買い物の同行は、塩分表示を一緒に確認する機会にもなる。
この人は歩行できており、車椅子は不要である。歩行の機会を奪うと下肢筋力が低下し、活動性がさらに下がる。適切な休憩を挟みながら歩くことが、心機能に見合った活動として望ましい。
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混同しやすいポイント
『心不全=安静と制限』と単純化しないことが要点である。過度の安静は廃用を招き、かえって生活機能を下げる。心臓リハビリテーションの考え方では、症状が出ない範囲での適度な活動が推奨される。制限するのではなく、症状を目安に活動量を調整する、という方向で助言する。
理解を深める
心不全の増悪の徴候として、体重の増加(数日で2kg以上)、下腿浮腫、労作時呼吸困難の悪化、夜間の咳や発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、食欲低下、倦怠感がある。在宅では、毎日の体重測定と記録が最も分かりやすい指標になる。塩分制限(1日6g未満)、水分管理、服薬の継続、感染予防(呼吸器感染は増悪の誘因)、適度な活動が管理の柱である。多職種で支える場合、訪問介護員やデイサービスのスタッフにも、増悪の徴候と受診の目安を共有しておくと早期発見につながる。医療職でない人に伝えるときは、専門用語を避け、観察できる具体的な現象(息切れ、むくみ、体重)で伝えることが重要になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が過剰な制限、配慮の方向の誤り、過剰な介助で構成されている。他職種が実行できる具体性という視点も判断材料になる。
5分で振り返る
①心不全では労作時の息切れが心負荷の徴候。②症状を目安に活動量を調整する(過度の制限はしない)。③利尿薬内服中の一律の水分制限は脱水を招く。④塩分制限は1日6g未満。⑤増悪の徴候は体重増加・浮腫・夜間の呼吸困難。⑥他職種には観察できる現象で伝える。
1分チェック
- 心不全の人の外出に同行するとき何に注意するか。→ 息切れが出たら休憩する。
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