次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(78歳、女性、要介護1)は夫(82歳、要支援1)と2人で暮らしている。hypertension高血圧症とheartfailure心不全と診断され、降圧薬と利尿薬を内服し、日常生活では呼吸困難の症状はない。病状管理のために訪問看護を週1回利用している。Aさんは「最近、買い物に行くとすぐに疲れてしまい、重いものが買えない」と話し、訪問介護員の買い物への同行を希望した。Aさんの希望を受けてサービス担当者会議が開催され、訪問介護事業所から訪問看護師に「買い物に同行するときに注意することはありますか」と質問があった。
A さんの夫は洗濯や簡単な食事の準備、掃除、ゴミ出しをしている。長女家族 は徒歩15 分くらいのところに住んでおり、週2 回訪れている。訪問看護師が訪問 すると、夫から「家事をすることには慣れてきたけれど、最近、腰に痛みを感じる ことがあります」、長女から「両親はお金がかかってもサービスを使いたいと言って います」と話があった。 訪問看護師がA さんについて介護支援専門員と共有する内容で優先されるのは どれか。
公式正答:3
解説
夫が家事を担う中で腰痛を訴えている状況で、訪問看護師が介護支援専門員と共有すべき内容の優先を問う。Aさんの夫の体調である。
この問題で問われていること
在宅療養の継続を左右する要因を見極め、多職種で共有すべき情報を選べるか。
しくみから理解する
この世帯では、82歳で要支援1の夫が、洗濯、食事の準備、掃除、ゴミ出しという生活を支える家事を担っている。その夫が腰痛を訴えているということは、介護力そのものが揺らぎ始めていることを意味する。腰痛が悪化して家事ができなくなれば、Aさんの在宅生活が直ちに立ち行かなくなる。介護支援専門員はケアプランを作成し、サービスの調整を行う立場にあるため、この情報を共有すれば、家事援助の導入や増回、夫自身の受診と介護予防サービスの利用といった対応につながる。在宅療養の継続に最も直接に影響する情報として優先される。
選択肢ごとの確認
長女から『お金がかかってもサービスを使いたい』という意向が示されており、経済面が制約になっていないことが分かる。共有すべき情報ではあるが、いま揺らいでいる介護力ほどの優先度はない。
生活環境の把握として重要だが、設問には清掃が滞っているという記述はない。夫が掃除を担っており、その夫の体調が問題の中心である。
心理的な側面も支援の対象だが、いま具体的に生じているのは夫の身体的な問題である。まず介護力の維持に関わる事実を共有し、対応を検討することが先になる。
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混同しやすいポイント
在宅療養は、本人の状態だけでなく、介護者の健康と生活によって支えられている。介護者が高齢である老老介護では、介護者自身が要支援・要介護の状態にあることも多く、この事例もそれにあたる。『支える側も支えられる側』という視点を持ち、介護者の健康を観察の対象に含めることが在宅看護の要点になる。
理解を深める
介護者への支援では、まず健康状態の把握(睡眠、食事、痛み、持病の管理、受診の継続)を行う。腰痛は介護に伴う代表的な健康問題で、負担の大きい動作の見直し、福祉用具の導入、家事援助の利用が対策になる。この夫は要支援1であり、自身も介護予防サービスを利用できる立場にある。夫の分のケアプランと妻の分のケアプランを、同じ介護支援専門員が担当していれば調整しやすい。あわせて、長女家族という支援者がいることも資源として評価する。介護負担が限界に達してからでは選択肢が狭まるため、兆しの段階で共有し、先手を打つことが重要である。
間違えやすい考え方
優先度を問う型で、4肢すべてが共有する価値のある情報である。『在宅生活の継続を最も直接に脅かすものはどれか』という基準で選ぶ。
5分で振り返る
①在宅療養は介護者の健康に支えられている。②介護者が高齢の老老介護では介護者自身も要支援・要介護のことがある。③介護力の変化は在宅継続に直結するため優先して共有。④腰痛には動作の見直し・福祉用具・家事援助で対応。⑤夫も要支援1なら自身のサービスを利用できる。⑥限界に達する前に先手を打つ。
1分チェック
- 老老介護で介護者が腰痛を訴えたら何を共有するか。→ 介護者の体調(介護力の変化)。
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