次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(78歳、女性、要介護1)は夫(82歳、要支援1)と2人で暮らしている。hypertension高血圧症とheartfailure心不全と診断され、降圧薬と利尿薬を内服し、日常生活では呼吸困難の症状はない。病状管理のために訪問看護を週1回利用している。Aさんは「最近、買い物に行くとすぐに疲れてしまい、重いものが買えない」と話し、訪問介護員の買い物への同行を希望した。Aさんの希望を受けてサービス担当者会議が開催され、訪問介護事業所から訪問看護師に「買い物に同行するときに注意することはありますか」と質問があった。
A さんから「2 人とも高齢なので、災害が起こった時に避難できるかどうか心配 です」と話があった。 訪問看護師によるA さんへの説明で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
災害時に避難できるか心配だと話す高齢夫婦への説明を問う。自宅内の避難経路を点検するよう伝えることである。
この問題で問われていること
災害への備えを、平常時にできる具体的な行動として示せるか。
しくみから理解する
災害時、避難の第一歩は自宅から安全に外へ出ることである。高齢者、とくに要介護状態にある人では、屋内の家具の転倒、散乱した物、暗がり、段差が避難の妨げになる。平常時に、寝室から玄関までの動線を確認し、家具を固定し、通路に物を置かず、履物と懐中電灯を手の届く場所に用意しておけば、実際に災害が起きたときに動ける可能性が高まる。備えは災害が起きてからでは間に合わないため、いま心配を口にした機会に、具体的に実行できることを示すことが支援になる。
選択肢ごとの確認
できない約束である。大規模災害では、訪問看護師自身が被災し、道路の寸断や通信の途絶により訪問できない可能性が高い。事業所は事業継続計画(BCP)を策定し、安否確認の優先順位を定めるが、全員をすぐに誘導することは現実的でない。実行できないことを伝えると、本人が自ら備える機会を奪うことにもなる。
遅すぎる。避難所の場所と経路、そこまでの所要時間は平常時に確認しておく。ハザードマップで自宅の危険(浸水、土砂災害)を知り、状況に応じてどこへ避難するかを決めておくことが備えになる。
長女家族も被災している可能性があり、徒歩15分の距離でも到着できるとは限らない。他者の到着を待つことは避難の遅れにつながる。まず自分たちで動けるようにし、そのうえで支援者との連絡方法を決めておく。
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混同しやすいポイント
『誰かが助けに来てくれる』という前提に立った誤肢が2つ並んでいる(訪問看護師、長女家族)。災害時は支援者も被災者になるため、まず本人・家族が自ら備え、動けるようにすることが基本になる。そのうえで、避難行動要支援者名簿への登録や、地域の共助につなぐ。
理解を深める
在宅療養者の災害への備えには、次のような要素がある。①自宅の安全(家具の固定、避難経路の確保、ガラスの飛散防止)②避難先と経路の確認(ハザードマップ、指定避難所、福祉避難所)③持ち出し品(薬、お薬手帳、保険証、医療機器の予備、連絡先を書いたもの)④医療の継続(医療機器の非常用電源、酸素ボンベの予備、透析施設の代替)⑤連絡手段(災害用伝言ダイヤル、家族との集合場所)⑥避難行動要支援者名簿への登録と個別避難計画の作成。訪問看護事業所は、利用者の重症度と必要な支援を平常時に整理し、災害時の安否確認の優先順位を決めておく。看護師は、訪問のたびに少しずつ備えを確認していく関わりができる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『他者に頼る』方向と『事後に確認する』方向で作られている。備えは平常時に、自分でできることから、という原則を持つ。
5分で振り返る
①避難の第一歩は自宅から安全に出ること。②家具の固定、通路の確保、履物と懐中電灯の準備。③避難所と経路は平常時に確認、ハザードマップを活用。④支援者も被災するため他者の到着を前提にしない。⑤持ち出し品に薬とお薬手帳、医療機器の予備。⑥避難行動要支援者名簿と個別避難計画。
1分チェック
- 在宅療養者の災害への備えでまず勧めることは何か。→ 自宅内の避難経路の点検。
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