次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(55歳、男性)は会社の健康診断で便潜血が陽性となった。他の検査項目に異常がなかったため、精密検査を受けなかった。6か月後、妻の強い勧めで病院を受診し「体調に変化がなかったので、仕事を優先していました。たくさん検査を受けないといけないのですね」と話した。Aさんに特記すべき既往歴はない。
A さんの診断に最も有用な検査はどれか。
公式正答:2
解説
健康診断で便潜血が陽性となった55歳男性の診断に最も有用な検査を問う。大腸内視鏡検査である。
この問題で問われていること
スクリーニング検査で陽性となった後の精密検査を、目的に照らして選べるか。
しくみから理解する
便潜血検査は大腸癌検診のスクリーニングであり、陽性であれば消化管からの出血の原因を確かめる必要がある。大腸内視鏡検査は、大腸の粘膜を直接観察でき、病変を見つけたその場で生検して病理診断を確定できる。さらにポリープであれば切除まで行える。診断の確定という目的に対して、形態の観察と組織の採取の両方ができる点で最も有用な検査となる。
選択肢ごとの確認
軟部組織の描出に優れ、直腸癌の局所進展や肝転移の評価には有用だが、大腸粘膜の小さな病変を見つける検査ではなく、組織も採取できない。診断の第一歩には適さない。
非侵襲的で肝、胆、膵、腎の評価に有用だが、消化管はガスに妨げられて観察しにくい。大腸粘膜の病変の検出には向かない。
進行癌の広がりや転移の評価には有用で、病期診断に用いられる。ただし早期病変の検出力は内視鏡に劣り、組織診断もできない。診断確定の検査ではない。
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混同しやすいポイント
『診断』と『病期の評価』を区別する。診断を確定するのは組織診であり、そのためには内視鏡が要る。CTやMRIは、診断がついた後にどこまで広がっているかを調べる検査である。設問が『診断に最も有用な』と問うている点を読む。
理解を深める
この事例では、便潜血陽性から6か月間、精密検査を受けずに経過している。大腸癌検診では、便潜血陽性者の精検受診率の低さが課題であり、『症状がない』『忙しい』『検査が怖い』といった理由で先延ばしにされやすい。看護師には、検診が有効なのは精密検査まで完了して初めてであること、早期であれば内視鏡治療で治せることを伝え、受診を後押しする役割がある。大腸内視鏡検査では、前処置として下剤による腸管洗浄が必要で、これが負担になる。前処置の方法、当日の流れ、鎮静の有無、検査後の注意(生検やポリープ切除をした場合の食事と飲酒、運動の制限、出血の観察)を具体的に説明すると、不安が減り受診につながる。
間違えやすい考え方
検査を選ぶ型で、4肢すべてが腹部の画像検査である。『何を確かめたいのか』から必要な検査の性質(直接観察と組織採取)を導く。
5分で振り返る
①便潜血はスクリーニング、陽性なら精密検査が必要。②大腸内視鏡は直接観察+生検+切除ができる。③CT・MRIは病期評価に有用だが診断確定はできない。④超音波は消化管の観察に向かない。⑤検診は精検まで完了して初めて有効。⑥前処置と検査後の注意を具体的に説明する。
1分チェック
- 便潜血陽性の精密検査は何か。→ 大腸内視鏡検査。
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