次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側のfractureofhumerus上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。
術後1 日。A ちゃんは看護師に「昨日の夜は、お母さんに食べさせてもらった。 私には弟がいて、お世話が大変なの。私はお母さんに迷惑をかけたくない」と話し た。 A ちゃんへの看護師の声かけで最も適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
利き腕を固定された7歳児が、母親に迷惑をかけたくないと話した場面での声かけを問う。左手で食べる練習をしようと促すことである。
この問題で問われていること
学童期の発達課題を踏まえ、子どもが自分でできる方法を一緒に見つけられるか。
しくみから理解する
学童期の発達課題は勤勉性であり、自分でやってできたという経験が有能感を育てる。この児は『母に迷惑をかけたくない』と述べており、自分でできるようになりたいという気持ちがうかがえる。右手が使えなくても、左手を使う、自助具を使うという方法があれば、食事の自立を保てる。練習しようという声かけは、その気持ちを受け止め、具体的な方法を示し、できるようになる見通しを与える。結果として母親の負担も減り、児の願いにもかなう。
選択肢ごとの確認
きょうだいの立場を理由に我慢や努力を求める言い方である。7歳の児が弟の世話で母が大変だと感じている状況で、姉であることを強調すると、さらに我慢を強いることになる。年齢や立場ではなく、その子自身の力に着目する。
母の負担は減るが、児が自分でできる機会を奪う。全介助は、この年齢の子どもの自尊心を傷つけ、退行を招くこともある。できない部分だけを補う形にする。
児の気持ちを否定している。母を思いやる気持ちは大切にすべきもので、それを打ち消すのではなく、その気持ちを実現する方法を示すほうが支援になる。
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混同しやすいポイント
子どもの言葉の背後にある気持ちを読むことが要点である。『迷惑をかけたくない』は、自立したいという意欲でもあり、家族への思いやりでもある。どちらも肯定したうえで、実行できる方法を提案する。誤肢は、我慢を求める、代わりにやる、気持ちを打ち消す、といずれも子どもの主体性から離れている。
理解を深める
入院中の子どもの発達支援では、年齢と状況に応じてできることを見極める。学童期では、治療への参加(自分で薬を飲む、処置の手順を理解する)、学習の継続(院内学級、学校との連絡)、友人関係の維持、遊びの保障が課題になる。利き手が使えない場合、食事では滑り止めマット、太柄のスプーン、片手で使える食器といった自助具が役立ち、作業療法士と連携できる。また、この児はきょうだいへの母の関わりを気にしており、家庭内での役割意識が強い。家族全体の状況を把握し、母親の負担や弟への対応についても情報を得ておくと、退院後の生活を見通した支援につながる。
間違えやすい考え方
『最も適切なのはどれか』型で、誤肢が『我慢させる』『代わりにやる』『気持ちを否定する』方向で作られている。子どもが自分でできるようにする選択肢を選ぶ。
5分で振り返る
①学童期の発達課題は勤勉性、できた経験が有能感を育てる。②全介助は自立の機会と自尊心を奪う。③年齢や立場(お姉ちゃん)を理由に我慢を求めない。④家族を思う気持ちは否定せず、実現する方法を示す。⑤自助具の活用と作業療法士との連携。⑥入院中も学習と遊びを保障する。
1分チェック
- 利き手が使えない学童への声かけは何か。→ もう一方の手で自分でできる方法を一緒に練習する。
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