次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(7歳、女児)は両親と弟(2歳)の4人で暮らしている。下校中に転倒して右手を地面についた。夕食時に母親がAちゃんの異変を感じ、Aちゃんに尋ねたところ「転んで肘が痛い」と話したため救急外来を受診した。その結果、利き腕である右側のfractureofhumerus上腕骨の骨折が判明したため、入院して直ちに全身麻酔下で内固定術を受け、ギプス固定された。
手術から2 か月、A ちゃんは母親と共に抜釘術のため再入院した。母親は「私 は、前回の手術は急なことだったのでよく覚えていないです。A もよく覚えてい ないみたいで『手術が怖い』と言っています」と話した。 母親への看護師の返答で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
抜釘術のため再入院した7歳児が「手術が怖い」と話し、母親も前回をよく覚えていないと述べた場面での返答を問う。児が前向きに取り組めるよう説明すると伝えることである。
この問題で問われていること
子ども本人への心理的準備(プレパレーション)の必要性を理解しているか。
しくみから理解する
プレパレーションは、子どもがこれから受ける医療について、発達段階に応じた方法で説明を受け、心の準備をして主体的に臨めるようにする支援である。前回は緊急手術で説明の機会がなく、児は何が起きたか分からないまま処置を受けた。その記憶のなさが、今回の『怖い』という感情につながっていると考えられる。7歳であれば、写真、人形、絵本、実際の物品を使って、どこで何が行われるか、どんな感覚があるか、いつ終わるかを具体的に理解できる。説明を受けて見通しが持てれば、恐怖は和らぎ、治療に協力しやすくなる。
選択肢ごとの確認
根拠のない保証であり、児の恐怖を打ち消している。しかも母親自身が『Aもよく覚えていない』と述べており、頑張れたという経験が本人の中に残っていない。本人の感情を受け止めず励ますだけでは準備にならない。
母親への説明も必要だが、怖がっているのは児本人である。本人を説明の対象から外すことは、子どもの知る権利と主体性を軽視することになる。両方に行うのが望ましく、本人への説明を欠かすべきではない。
説明の責任を母親に委ねている。母親自身も前回のことを覚えておらず、医療の内容を正確に説明できる立場にない。また子どもの反応を受け止める負担も母親にかかる。医療者が発達段階に応じた説明を行うのが役割である。
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混同しやすいポイント
『子どもだから分からない』『親に説明すればよい』という考え方が、誤肢2・3の背景にある。子どもにも知る権利があり、発達段階に応じて理解できる。説明を受けた子どものほうが、処置中の不安と苦痛が少なく、その後の医療に対する不信も少ないことが知られている。
理解を深める
プレパレーションは、年齢によって方法を変える。幼児期では人形や遊びを通じて、学童期では写真、絵、模型、実際の物品を使い、思春期では言葉と資料で説明する。共通する原則は、嘘をつかないこと(痛くないと言わない)、いつ・どこで・何が・どのくらい続くかを具体的に伝えること、子どもができること(自分で選べること、頑張り方)を示すこと、感情を表現してよいと伝えることである。処置後にはディストラクション(気をそらす関わり)とプレイセラピー、そして頑張りを認めるフィードバックを行う。医療体験を『何をされたか分からない怖いこと』ではなく『説明を受けて自分も参加したこと』にすることが、その後の医療との関わり方を左右する。
間違えやすい考え方
『最も適切なのはどれか』型で、誤肢が根拠のない保証、本人の除外、家族への丸投げで構成されている。子ども本人への説明という原則を持っていれば選べる。
5分で振り返る
①プレパレーション=子ども本人が心の準備をして主体的に臨めるようにする支援。②年齢に応じて人形・写真・模型・言葉を使い分ける。③嘘をつかない、具体的に伝える、できることを示す。④本人を説明の対象から外さない。⑤緊急手術で説明がなかった経験が恐怖につながる。⑥処置後は頑張りを認めるフィードバック。
1分チェック
- 手術を怖がる子どもにまず何をするか。→ 発達段階に応じた説明(プレパレーション)を本人に行う。
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