次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(37歳、初産婦)は妊娠40週5日で妊娠経過は順調である。午前6時から15分おきの子宮収縮が始まり、午前9時から5~7分周期の陣痛がある。午前10時に入院し、入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈拍80/分、血圧134/86mmHg。子宮口3cm開大、未破水であった。
A さんは同日(妊娠40 週5 日)、20 時30 分に女児を正常分娩で出産した。出生 時体重は2,850 g、Apgar〈アプガー〉スコアは1 分後8 点、5 分後9 点であった。 日齢2 の体重は2,680 g、体温37.3 ℃、呼吸数38/分、心拍数138/分。おむつ交 換時、外陰部に粘稠性のある血性分泌が認められた。 児の状態のアセスメントで正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
日齢2の新生児で、外陰部に粘稠性のある血性分泌が認められた場合のアセスメントを問う。新生児月経である。
この問題で問われていること
新生児期にみられる生理的変化を、母体由来のホルモンの影響として理解しているか。
しくみから理解する
胎児は、胎盤を通じて母体から大量のエストロゲンを受け取っている。出生によりこの供給が絶たれると、ホルモン濃度が急激に低下し、女児では子宮内膜が剝離して少量の性器出血をきたす。これが新生児月経(新生児仮性月経)で、生後数日以内に現れ、数日で自然に止まる。同じく母体ホルモンの影響で、男女ともに乳房の腫脹や乳汁分泌(魔乳)がみられることもある。いずれも生理的な現象であり、治療は不要で、家族に説明して不安を取り除くことが看護になる。
選択肢ごとの確認
心拍数138/分は新生児の正常範囲(120〜160回/分程度)にある。成人の基準で判断すると頻脈に見えるが、新生児では正常である。
呼吸数38/分は新生児の正常範囲(およそ30〜60回/分)にある。多呼吸はおおむね60回/分以上を指す。呼吸数は動きやすいため1分間正確に数え、陥没呼吸や鼻翼呼吸といった呼吸の努力、呻吟、そして皮膚色と合わせて解釈する。
出生時2,850g、日齢2で2,680gであり、減少量は170g、減少率は約6.0%である。生理的体重減少は出生体重の5〜10%程度、生後3〜5日で最低となりその後回復するとされ、この範囲内である。10%を超える場合に脱水や哺乳不足を疑う。
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混同しやすいポイント
新生児の基準値を成人の感覚で判断すると、心拍数と呼吸数を異常と誤る。新生児は代謝が盛んで、心拍数120〜160回/分、呼吸数はおよそ30〜60回/分が正常になる(60回/分以上を多呼吸とする)。また体重減少率は、実際に計算して確かめる必要がある。(2850−2680)÷2850=約6.0%という計算を省くと判断できない。
理解を深める
新生児期にみられる生理的な変化には、ほかに生理的黄疸(生後2〜3日に出現、4〜5日にピーク、7〜10日で消退)、生理的体重減少、落屑、中毒性紅斑、稗粒腫、蒙古斑、魔乳、新生児月経、初回排尿・排便(24時間以内)がある。これらを『異常ではない』と説明できることが、家族の不安を減らす。一方で、注意すべき所見としては、生後24時間以内に出現する黄疸(早発黄疸、血液型不適合を疑う)、生後24時間を過ぎても排尿・排便がない、体重減少率10%以上、呼吸数60回/分以上、陥没呼吸、呻吟、チアノーゼ、体温の異常がある。生理的な変化と病的な所見を区別して覚えることが、観察の質を決める。
間違えやすい考え方
アセスメントを問う型で、複数の数値が示されている。新生児の基準値を持っていることと、体重減少率を計算することの両方が必要になる。
5分で振り返る
①母体エストロゲンの急減で子宮内膜が剝離→新生児月経、数日で自然に止まる。②魔乳(乳房腫脹・乳汁分泌)も同じ機序。③新生児の心拍数120〜160回/分、呼吸数はおよそ30〜60回/分(60回/分以上を多呼吸とする)。呼吸数は正確に数え、呼吸の努力・皮膚色・全身状態と合わせて解釈する。④生理的体重減少は5〜10%、生後3〜5日で最低。⑤10%超は脱水や哺乳不足を疑う。⑥生後24時間以内の黄疸は病的。
1分チェック
- 日齢2の女児の性器出血は何か。→ 新生児月経(母体エストロゲンの離脱による)。
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