次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(37歳、初産婦)は妊娠40週5日で妊娠経過は順調である。午前6時から15分おきの子宮収縮が始まり、午前9時から5~7分周期の陣痛がある。午前10時に入院し、入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈拍80/分、血圧134/86mmHg。子宮口3cm開大、未破水であった。
A さんの児は日齢4 。児のバイタルサインに異常はない。経皮ビリルビン検査 で生理的範囲を超え、医師の診察の結果、 hyperbilirubinemia 高ビリルビン血症と診断された。保育器 に収容してスタンド型光線療法器で治療を開始することになった。 A さんへの説明で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
日齢4で高ビリルビン血症と診断され、保育器内でスタンド型光線療法を受ける児について、母親への説明を問う。アイマスクをして治療することである。
この問題で問われていること
光線療法の原理と、それに伴う必要な保護を理解しているか。
しくみから理解する
光線療法は、青色から緑色の波長の光を皮膚に照射し、間接ビリルビンを水溶性の異性体に変えて、胆汁と尿から排泄させる治療である。効果を得るには皮膚の露出面積を広くする必要があるため、児はおむつのみの裸に近い状態で照射を受ける。一方、強い光が直接目に入ると網膜を傷める可能性があるため、アイマスク(遮光用のアイパッチ)で眼を保護する。これは光線療法において必須の対応であり、母親への説明として適切である。
選択肢ごとの確認
原則として授乳は継続する。むしろ水分の補給と、腸管の蠕動を促してビリルビンの排泄を助けるために、授乳は重要である。母乳性黄疸が強く疑われる特殊な場合に一時的な中断を検討することはあるが、光線療法だから中止するのではない。
保育器に収容してスタンド型の器具で照射するため、児は治療の間、保育器内にいる。母児同室をそのまま続けることはできない。ただし授乳や面会の時間を確保し、母子分離による母親の不安に配慮することが看護として必要になる。
衣服は光を遮り、照射面積を減らして効果を下げる。おむつのみとし、体位を変えて全身に光が当たるようにする。ただし体温の低下に注意し、保育器で環境温を保つ。
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混同しやすいポイント
光線療法の3つの要点は、①照射面積を広くする(裸に近い状態)②眼を保護する(アイマスク)③授乳は継続する、である。誤肢はこの3点をそれぞれ否定する形で作られている。原理(光を当てて分解する)から必要な対応を導ける。
理解を深める
光線療法中の観察と管理には、体温(保育器内の環境温と光による加温、逆に露出による放熱)、水分バランス(不感蒸泄の増加による脱水)、排泄(緑色の水様便が増える)、皮膚(発疹、乾燥)、アイマスクのずれと角膜の保護、体位変換がある。副作用として、ブロンズベビー症候群(直接ビリルビンが高い場合に皮膚が灰褐色になる)が知られている。治療の効果は経皮ビリルビン値と血清ビリルビン値で評価する。母親には、黄疸が生理的な範囲を超えたための治療であること、多くは数日で改善すること、面会と授乳ができることを説明し、母子分離による不安を和らげる。核黄疸(ビリルビン脳症)を防ぐことが治療の目的であり、放置すれば不可逆的な神経障害を残すため、必要な治療であることを伝える。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が治療の原理に反する内容で構成されている。光を当てるという原理から、何が必要で何が妨げになるかを導く。
5分で振り返る
①光でビリルビンを水溶性に変えて排泄させる。②照射面積を広くするためおむつのみ、衣服は着せない。③強い光から網膜を守るためアイマスクを装着。④授乳は継続する(水分と排泄の促進)。⑤保育器収容のため母児同室は継続できない。⑥観察は体温・水分・排泄・皮膚・アイマスクのずれ。
1分チェック
- 光線療法で必ず行う保護は何か。→ アイマスクによる眼の保護。
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